1月29日


バグダットで爽やかな朝を迎える。ホテルはサマワより格段に良くて、久しぶりにぐっすり眠れた。しかし治安はサマワより数段悪い。うまくいかないものだなーと思う。 ウダイ・クサイが住んでいたといわれる宮殿を再び訪れる。前回訪れたときは何度もアリババに入られた後ので、空爆の被害だけでなく盗みの被害が多かった。

今回あちこちが米軍に占拠されていて、この宮殿も入れないのを覚悟で訪れた。案の定、入り口に車を止めると銃を持ったイラク人が走ってきた。

「時間の都合上、宮殿での詳しい話は帰国後にアップします」。  


宮殿で結構長い時間を使ってしまったので、あっという間にお昼ご飯の時間になってしまった。ドライバーは良いのだが、通訳のおじさんがうるさいのでこちらが気を遣ってお昼ご飯にする。おじさんが「バグダットで一番美味い店に行こう」と言い出す。(全く、そりゃーお財布は僕たちだけど・・ちーとは遠慮しろよなー!)と思うが、あと数日、嫌な思いをしないためにおじさんの言葉に従うことにする。連れて行かれたのはバグダットの中心部から車で10分ほどの所にある高級レストラン。作り自体がお洒落だし、何と言ってもお客さんがみんな小綺麗な格好をしている。日本で言えば、赤坂の高級料亭みたいな感じ。

おじさ んは嬉しそうだが、ドライバーは場違いの場所に来たようで落ち着かない様子だった。まあ、日本で僕がジーパン姿のまま高級料亭に入るような感じだろう。このレストランに来るのはお医者さんや大学教授、会社のオーナーなどが多いらしい。隣のテーブルには男女3人ずつの大学生がおしゃべりしながらピザを食べていた。この空間だけは戦争から切り離されているような感じがした。サドゥンストリート辺りのギスギスした感じとは比較にならないくらい平和な空気が流れていた。  

食事を終え、そのサドゥンストリートへ向かう。6月に再会した家族にもう一度会いに行く。サドゥンストリートに車を止め、裏道に入っていくと通訳のおじさんが「この辺りは危険が多いから行くのをやめよう」と言い出した。イラク人が嫌がるほど治安が悪くなってしまったのだろうか?確かに周りにいるイラク人の僕たちを見る目は明かに冷たい。

それでも知り合いに会いたいからといい。無理矢理奥へ入っていく。道には汚水があふれ、以前より環境が悪いのが見て取れる。方向音痴の僕は何度来ても迷ってしまう。荷物が出てこなかったので、写真がない。あまり宜しくないとは思いつつもコンピュータのモニターに写真を出して、マリアムさんの家を探す。すぐに知っている人が現れ、案内してくれた。

マリアムおばさんは元気でいてくれた。 しかし旦那さんが米軍につかまってしまったという。面会され許されないらしい。女の子と再会の握手をしたが、女の子は僕の手を離さなかった。申し訳無いが、圧倒的に僕の手の方が暖かかった。大変な環境で生きていかなければならない、しかも父親に会うこともできない。幼い子供は父親に会えない理由をしっているのだろうか?気にはなったが、どうしても質問する事ができなかった。

マリアムおばさんは「あなたと始めて会った頃が一番良かった。日に日に環境が悪くなるわ」と話してくれた。  
本当は最近のマリアムおばさんの写真を載せたいのだが、デジタルカメラのバッテリーがなくなってしまい、撮影ができない。充電器はスーツケースの中。CFカードの予備は手元にあったんだけど。

あーあ。今回はエミレーツ航空のせいで充分な撮影ができなかった。日本に帰って、スキャニングしてからアップしますので、しばしお待ちを。