日本人拉致事件
「イスラム国」における日本人拉致事件について
「イスラム国」において拉致されたジャーナリスト・後藤氏に関して多くの報道がなされています。
フリーランス・ジャーナリストによって設立された弊社としても後藤氏の無事を強く願っております。
これまでに数多くのジャーナリストが命を落としてきました。
しかし重要なことがあります。それは生死を別としても帰還者をヒーローとしてはならないということです。
我々フリーランスのジャーナリストは危険地帯で取材を行う前に充分な情報収集を行い、危険地帯への入域が危険を冒してまで伝えるべきものであるか、自問自答しつつ冷静に判断していかなければなりません。
しかし時として危険な状態に陥ることもあります。重要なのはその経験を教訓として活かすことにあります。
残念ながら、これまでに日本人を含め、ジャーナリストがなぜ危険な状態に陥ったのか、冷静な報道は極めて限られているように思います。結果として、教訓も広く共有されているとは言えない状況ではないでしょうか。
危険を冒してでも伝えるべきことがあるのならば、そこに赴くのがジャーナリストを生業としているものの使命です。そして生きて帰ってくることは責任でもあります。生きて帰って本人の口で伝えるからこそ、真実はより多くの人に伝わります。
現在、後藤氏の事件は進行中であり、まだその検証のタイミングではないのでしょう。
私たちは後藤氏が生きて日本に帰ることを強く信じるとともに、彼がなぜ現地へ赴いたのか、何を伝えたかったのか、本人の口から語られる日を待ちたいと思います。
弊社所属ジャーナリストにも、後藤氏をよく知るメンバーがいます。家族に付き添うなど、私たちにできることを行う一方、後藤氏の件を取材するメンバーもいます。決して他人事ではありません。
いま私たちが果たせる役割とは何なのか。このことを冷静に考えつつ、後藤氏の無事と帰国をメンバー一同強く願っています。
また国民の皆さんにもひとつ知っていただきたいことがあります。
いまシリアを含む中東やアジアで何が起こっているのか、この機会に知っていただきたいということです。
私たちの国は日本人がなにかに巻き込まなければその国で何が起こっているのか知ろうとしないという現状があります。
これはメディア側の私たちの自省も含めた現状です。
弊社のサイトにはアフガン戦争前からそうした危険地帯を取材してきたメンバーの記事が掲載されています。
いま世界で何が起きているのか、私たちが伝えてきたことをお読みいただければ幸いです。
2015年1月28日
ASIANEWS
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株式会社ASIANEWS
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