1月28日
サマワにもう少し滞在したい気持ちもあったが、正直なところ自衛隊の本隊が来る まではサマワにさほどの変化はないだろうし、サマワの人たちも「日本に期待してい る」という答えしか返してこない。日本人を歓迎してくれているので、居心地は良い のだが、このままぬるま湯につかっていると出るのがイヤになってしまうので重い腰 を上げる事にする。
自衛隊の福田さんとお話するのも楽しいんだけど、報道各社がい て僕ができることは殆どないのが現状だ。お金に余裕があれば自分の目で見続けたい と思うが、報道としては成り立たないのが残念。ってなことで、08:10サマワを 出発する。
そうそう、昨夜、電波ニュースさんにお別れの挨拶をして帰ってくるとき検問にあっ た。イラクの警察官が車を覗きこみ「オー!ヤパニーOK! go go」と言った。未だか つて日本人だからといって検問がフリーパスだったことはない。それほど今のサマワ は沸き立っている。次回サマワに来たときも同じように歓迎されることを祈るばかり だ。
現在のサマワ の平和はオランダ軍や米軍によってつくられたかりそめの平和で あることを忘れてはいけないと思う。各軍隊がサマワという街を取り囲み反乱分子が 入れないようにしている。それがなければ、あっという間に反日感情を持った抵抗組 織が入ってきてしまうだろう。すでにそういった組織がサマワに入ったという情報も 入ってきている。
すでに日本人が狙われているという情報があったため、バグダットまでの道のりは 多少緊張したものの(途中で爆睡してしまった)無事にバグダットに到着する事がで きた。途中で米軍が壊れた車両を片づけているシーンを目撃した。後で分かったこと だが、恐らくCNNがやられた現場だったようだ。CNNの車が銃撃されたというニ ュースはバグダットに入ってから聞いた。安全に見えて、あちこちで事件が起こって いるのが今のイラクだ。
バグダット市内は渋滞が激しい。見覚えのある場所からホ テルまで40分近くかかってしまった。各所にチェックポイントを設けたり、道路に コンクリートを置いているため慢性的な渋滞が発生している。
15:30フラワー ズホテルに到着。ところが部屋がない!がーん。
使っていない部屋はあるのだが、何処かのジャーナリストが押さえているそうだ。「うーん、来ないと思うし貸しましょ うか?」と言われたが、サマワの経験がよみがえり「いやいや、結構です。帰ってき たら大変ですから」と断り、向かいにあるハムラーホテルに部屋をとった。フラワー ズランドは従業員がみんな僕のことを知っているので、やりやすいのだが、部屋はハムラーの方が良い。しかもバスタブにつかれるのが最高だ。サマワは人が良かったが、ホテルは自分の部屋にトイレもなく大変だった。それでもアフガニスタンに比べれば 天国なのだが、バグダットはその上を行く。
ついにCNNが襲撃を受けた。これで、アメリカサイドの主要な国の殆どが襲撃をう けたことになる。日本のメディアが襲撃のターゲットになってもおかしくない。まし てや日本のメディアは未だに自衛隊の後を大挙して追いかけている。これは攻撃する 側からすればとてもやりやすい状態だ。市内のホテルの警備もな無いに等しい。日本 のメディアが攻撃された時の自衛隊、日本政府の反応が心配だ。「あれほど報道を自 粛してくれといったのに、こちらの言うことを聞かないからこういう事態になるんで すよ。以降、報道は控えてください」
こんな声明が発表されたとき日本のマスコミ各社がどうでるか?準戦時体制のイラク で取材を続ける人たちは多少の危険を覚悟している。それぞれ、危険を冒してでも伝 えなければならないものがあると信じているから。僕の感覚からすれば、戦争中より 現在の方が間違いなく危険度が高い。なのに戦時中バグダットに残らなかったマスコ ミ各社がサマワに滞在している。これは日本のマスコミにとっても大きな分岐点にな ると思う。