中東情勢2


このページの記事はフォトジャーナリスト渡部陽一がASIANEWSウエブ向けに書き下ろしています。
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「帰宅」2006年8月6日
攻撃停止の国連決議案が採択された。 これでレバノン紛争に終わりが見えてくるかというとそうではない。 ベイルートの速報が入ってきた時、食い入るようにテレビを見つめていた市民からはため息が漏れた。 決議案の内容がとても停戦を迎えられるものではないという。

その内容は
@イスラエルへのヒズボラの攻撃とみなされるものがあった場合、即時自衛のためのイスラエル側からの攻撃を認める。
Aレバノン紛争の「戦闘の一時停止」であって「即時停戦」ではない。


これでは何のための決議案なのか、納得できないと怒りをあらわにしていた。 ベイルート中心部、マウワード公園で2週間の避難生活をしていたアリさん一家は爆撃が続く中、南レバノンの自宅に戻った。 7人の子供たちにシャワーを浴びさせ、食料の補給、さらにたまりにたまった衣類を洗濯するという。

上空にはイスラエルの軍用機が旋回していたが、トラックの荷台に乗り込み実家に戻った。 家に到着してみると、家は破壊されていなかったが、すぐ脇を高速道路が走っていて、いつ爆撃の巻き添えを食らうか不安で仕方がないという。 早速子供たちの服を脱がせシャワーを浴びさせた。母親が食事を用意し、子供たちは一心不乱に家庭の味を満喫した。 用件が済むとまたマウワード公園に戻っていった。これが今の避難民の生活の流れである。

8月6日の写真


71 攻撃を逃れるために避難所に逃げる女性たち。


37 街中には非常食のジャガイモが大量に売られている。


78 爆風で商店が吹き飛び、ガラスの破片を集める店主。


85 アリさん一家は久しぶりの家庭の味を満喫した。


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